入院すると1日1歳分の年をとる
年齢を重ねると筋力が若い時より低下することは一般的によく知られているが、病気や怪我で入院する場合にもしっかりとリハビリをしなければ筋力は低下する。
筋力のつき方や低下の仕方は人種や生活様式など多くの要因で変化するためだれでも一概には言えないが、一般的な話を少し。
加齢に伴う筋力の変化
筋力のピークは20〜30歳代として、以後徐々に低下をたどるが、50歳以降から急激に低下し、80歳台までに30〜50%は低下する。つまり30年で30%、1年換算で約1%低下することになる。
入院による筋力の変化
かなり古い文献にはなるが、1日の安静で1~4%の筋力低下が起こり,3~5週間で約50%までにに低下するとされている。この論文ではギプス固定による結果を示しており、かつ1970年の報告であることから現在とは手術様式も安静期間も異なるため一概には言えないが。
1日1歳年を取る
これらのことから入院することで安静を強いられると1日1%、つまり1日1歳年を取ることと同等であり、80歳の人が10日入院すると90歳になってしまうと解釈できる。
貯金よりも貯筋
医師で作家の鎌田實先生の『70歳からの「貯筋」習慣』では、高齢者にとって生活を豊かにするには貯金があることが大切であるが、それ以上に「貯筋」、つまり筋力を落とさないことが大切であることが述べられている。
疾病により筋力が低下することを前提として元気なうちに筋力をいかに維持、向上させておくかで、ベースラインが高くなるので元気に退院できる可能性が高くなるということである。